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 性病(淋病、クラミジアなど)・膀胱炎・前立腺肥大症

 性感染症(尿道炎、精巣上体炎など)

性感染症は若い人の間で増加傾向にあります。最近では15~19歳の女性の20人に1人、20~24歳の女性の15人に1人がクラミジアにかかっています。クラミジアや淋病に感染すると、エイズに3~4倍かかりやすくなります。また放置した場合には、男性は精巣上体炎(副睾丸炎)や不妊症、女性は子宮頚管炎、卵管炎、不妊症などになる可能性があります。

  1. 1) 性行為(性交)にともなって感染する病気である
  2. 2) キス、オーラルセックス、アナルセックスでも感染する
  3. 3) 男女間とはかぎらず男性同士でも感染する。女性同志では感染することはまれである
  4. 4) 性行為をしていないヒトにはうつりにくい病気である
  5. 5) 女性に多い膀胱炎とは全くちがう病気
  6. 6) 排尿痛、排膿、異臭があれば泌尿器科、性病科、婦人科を受診する

◆性感染症の種類
1) クラミジア
2) 淋病
3) 非淋菌性非クラミジア感染症(マイコプラズマ、ウレアプラズマなど)
4) 尖圭コンジローマ
5) 梅毒
6) エイズ
7) 性器ヘルペス
8) 毛ジラミ
9) A、B、C型肝炎
10) アメーバ

 淋菌感染症

① 症状
多くの場合は感染(性行為)後、7日以内に症状が出現します
男性は症状が出ないこともありますが、尿道口から黄色のウミが排出し、排尿時痛や尿道口が赤く腫れたりします
女性は黄色のおりものが出て、異臭がすることもあります
② 原因
Neisseria gonorrhoeae(淋菌)
③ 検査
分泌液を染色して顕微鏡でみる
分泌液や尿を培養する(4~5日かかる)
尿中淋菌PCRあるいはSDA
分泌液中淋菌PCRあるいはSDA
④ 治療
最近では内服薬ではなかなか治癒しないため、注射薬を使用します。セックスパートナーも完全になおすこと
⑤ 予防
コンドームの使用

 クラミジア感染症

① 症状
女性の80%は症状がない
感染(性行為)後、1~2週間以内にで軽い排尿時痛、かゆみ、透明なウミが出たりします
② 原因
Chlamydia trachomatis を病原菌
③ 検査
尿中クラミジアPCRあるいはSDA
分泌液中クラミジアPCRあるいはSDA
④ 治療
抗菌剤の服用。パートナーも完全になおすこと
⑤ 予防
コンドームの使用

 膀胱炎

① 原因
大腸菌などの細菌が尿道から入って起こることが多い
② 誘引
疲労、寒冷、かぜ、便秘、下痢、糖尿病など、細菌にたいする抵抗力が弱いとき
月経、おりもの、性交など、細菌が侵入しやすい状態のとき
排尿回数が異常に少ない人、または排尿を長時間我慢する習慣の人では尿の細菌感染が起こりやすい
③ 合併症
癌、結石、結核、奇形、排尿機能異常などの合併症が、腎・尿管・膀胱・尿道・前立腺などにかくれていることがあります
④ 検査
尿検査が大切です。病原菌の確定や、腎・膀胱などのレントゲン検査を必要とする場合もあります。
⑤ 治療と効果
抗生物質、消炎剤などの治療でふつうの急性膀胱炎なら3~4日で軽快しますが、尿検査の結果が正常に戻ったあと、なお数 日間治療した方がよい。
⑥ 急性期の養生
①なるべく安静、体を冷やさないようにする。入浴は大丈夫です
②水分を十分にとって尿量を増やしたほうが良いです
③アルコール、コーヒー、カレー、わさび、こしょうなどの刺激性食品は避けた方が良い
⑦ 予防
①体の調子を整え、疲労、寒冷、便通に注意する ②尿意を長時間我慢しない ③外陰部を清潔に保つ。大便のとき、前から後ろに向かって拭く習慣をつける。 ④性交の後は必ず排尿を心掛ける。尿が少なければ水分を多くとり、なるべく早く排尿する。

 前立腺肥大症

前立腺は男性の膀胱出口で尿道を包むようにあるもので、精液を作るのに重要な役割をする(精液の液体成分の3分の1を占める前立腺液を分泌する)器官です。

② 前立腺肥大症
高齢男性にもっともよく見られる排尿障害の原因となる前立腺の良性腫瘍で、前立腺癌とは明らかに異なる良性疾患です。その有病率は高く、加齢とともに増加します。前立腺肥大症は組織学的に60歳の男性では50%以上に、また85歳までに約90%に認められ、その4分の1に臨床症状(頻尿、残尿感、尿線が細くなる、排尿に時間がかかるなど)が出現します。
④ 前立腺肥大症の原因
男性ホルモンと何らかの関係があると考えられていますが、現在のところ明確なことはわかっていません。ある程度の年配となると、男性ホルモンの分泌が減少してきます。このために男性ホルモンと女性ホルモンのバランスが崩れるために、老化現象として前立腺の内腺のなかにコブができてくるものと考えられています。
また体質や食べ物、生活環境も、病気を引き起こす原因と考えられています。
欧米では前立腺肥大症になる人の率が高く、その年代も若年層までも広がっています。日本人が前立腺肥大症にかかる率は、欧米より低いですが、最近では日本でも、40代の若い層にもみられるようになり、全体の患者数も急上昇してきています。日本人が増加傾向にあるのは、食生活の欧米化も影響しているようです。
⑤ 前立腺肥大症の症状
・軽症
トイレが近くなり、頻尿となる。特に夜間に多くなり、睡眠が妨げられる。またトイレに行ってもすぐにオシッコが出なくなり、排尿時間が延長する。尿線が細く、尿勢が弱くなる。
・中等症
トイレに行っても残尿感(まだオシッコが残っている感じ)が強い。オシッコはますます細くなり、出にくくなる。頻繁にトイレに行きたくなり、オシッコが漏れそうな切迫感にさいなまれる。この時期には、オシッコが膀胱に残る「残尿」が、30~150ccくらい、みられるようになる。
・重症
自分の意思ではうまく排尿できなくなる。オシッコが意思と関係なく漏れ続ける場合もある。この時期になると、膀胱容量がいっぱいになり、水腎症(膀胱まで尿がなかなか流れていかないために腎盂、腎杯が拡張すること)などが発生し、腎不全になることもあります。
⑥ 前立腺肥大症の検査
①問診・自覚症状に関するアンケート
 患者さんの病歴や、排尿に関する自覚症状をアンケート形式(国際前立腺症状スコア:I-PSS)で記入して頂きます。
②理学的検査
 触診(直腸診)肛門より指を挿入し、前立腺の大きさ、硬さ、硬結の有無を調べます。
また泌尿器・神経学的検査により知覚障害の有無、肛門括約筋の緊張の程度を調べ、神経因性膀胱の合併の有無について評価します。
③尿検査
 尿路感染症、血尿(膀胱腫瘍、結石など)の除外を行います。
④採血
 ①血清クレアチニン測定
 前立腺肥大症による閉塞のために腎機能低下が起こる症例が0.3~30%の頻度で認められます。そのため腎機能検査を行います。
 ②腫瘍マーカー(PSA:前立腺特異抗原)
 前立腺癌に鋭敏な腫瘍マーカー(PSA)を測定することによって、早期の前立腺癌の可能性を判断します。PSAが高値(正常値4.0ng/ml以下)の場合は前立腺生検が必要です。
⑤尿流量測定検査(ウロフロメトリー)
 センサー付の測定装置にいつものようにオシッコをしてもらうと、機械が尿流量、最大尿流量、平均尿流量などが、数値とグラフになって出てきます。前立腺肥大症の人のグラフは、尿流量のカーブが低くゆるやかで、排尿に時間がかかっているのが特徴です。また排尿中に途切れることもあります。
⑥経直腸的超音波検査
 肛門よりプロープを挿入し、経直腸的に前立腺の観察を行い、前立腺の内部の様子を見ることが出来ます。また残尿測定も可能です。

これらの検査結果と、患者さんの希望を聞いた上で、今後の治療を決定します。

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